· 

2021.3.21 牧師の書斎

桜前線が北上して、関西地方でも今週満開を迎えようとしている。いよいよ春爛漫の季節到来である。「桜」に心が引かれ美しいと思わせられるのは、風や雨によって満開になってもすぐに無残に散らされるという、一気に咲き、瞬く間に散ってしま う、その姿こそが美しい稀有な花であるから、人々 に愛されている所以だと言われている。

 

東日本大震災の被災地である福島県富岡町の夜の森地区で毎年ソメイヨシノが満開する並木がある。大半の並木は帰還困難区域にあり、咲き誇る花のトンネルを人々は楽しむことができないが、誰に見られなくても美しく咲いているらしい。原発事故で穢れたと言われた土地だけど、「そんなことは関係がない」とばかりに、創造主は毎年見事な桜の花を咲かせているそうだ。

 

「栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つように着飾っていなかった。きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の花でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくして下さらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ」(マタイ6:29、30)と。主が語られたみ言葉が心に浮かんだ。

 

命を司る創造主であられる神は、子である私たちに百花繚乱の季節を心ゆくまで楽しませて下さり、それ以上よくして下さらないはずがない。だから、今もっている心配事を神に委ねる信仰を働かせ、思い煩うのは止め、すべての被造物が新しい命に躍動する季節に感謝しよう。